数寄屋建築の石選び

数寄屋の優美な骨組も縁の下の力石の支えがいります。社寺の足下には見るからに頑強な礎石や亀腹のふくらみが見えますが、数寄屋建築でのこれは質素で、さりげないもの。といっても工法そのものが現在の高基礎に土台を乗せ、そこに柱を立てていくものとは違って、よく地業で突き固めた地面に根石という30-50cm丸ぐらいの玉石を据えそこに丸太柱を建てて木組みするのが、日本の伝統工法です。
ここでは、そんな根石と柱、また、壁下を見切る差し石に焦点をあてて、堪庵(京都国立博物館)を観てみます。


この邸宅に歩み寄ると、「石」というものを、建物へのプロローグとも感じられることがわかります。それは昔の草履歩きの足裏の感触と視線を楽しませてくれるからです。
決してバリアフリーではないですが、ほどよく角の取れた川石や山石が使われ、狭い空間をさも長い道のりに感じさせてくれます。草履底の前や後ろをやさしく刷り上げるような配石・据え方に庭師のセンスと気遣いが必要なのです。
また、木の建物と自然を取り込んだ庭園空間とのつながりをゆるやかに関連付けてくれるのが、踏み石や靴脱ぎ石の配石です。
数寄屋建築【石の言葉】
根石(玉石・伽藍石・沓石)・束石、差し石(ごろ太石/貴船、鴨川、浄土、鞍馬、丹鞍、永源寺、和田山)、畳石(小口敷き詰め)、飛び石(踏み石、延べ段/鞍馬、伽藍石、臼など露地の景色を作る)、落石、沓脱石、延べ石、竿石、庭石、布石(長い根石)、敷石(板石/整形石、自然石敷詰め)、切石、野面石(仕上げ:初肌、小叩き、びしゃん、水磨き、本磨き)、転石(石種でなく風化水流に耐えた角のない丈夫な石・貴船、高野、丹波、真黒)、縁石(葛石/基壇犬走りの縁)
図解 日本の庭-石組に見る日本庭園史
斎藤 忠一

桂離宮の飛石 (1955年)
丹羽 鼎三
