
帰郷したときに愛犬とうろつく、大和八木のほんのひとこま。今回は最近入れ込んでいる瓦に注目、景色豊かな甍(イラカ)の世界を披露致します。
これは「本瓦葺き」の表情で、瓦煎餅のように反った平瓦と、その間を上から伏せる半丸の丸瓦の連続で雨水を軒先に導くとてもシンプルな構成。先端には巴瓦(トモエカワラ)と呼ばれる飾り瓦が並びます。これは三つ巴の意匠。



実際の分銅(江戸時代)
これも巴瓦の変わりもの。金融関係のおうちか巴瓦は分銅(フンドウ)の意匠。左は二階の軒先で右は一階の軒先。上の方が古いようです。もちろん、これらはこの家のための特注品の瓦。商家としての家作りへの意気込みが感じられます。
とても複雑な屋根組のこのおうちのとあるコーナー。(谷邸)下り棟と呼ばれる軒の隅に添えられたこれも鬼瓦の一種。粋なことに「紅葉に流れ」の意匠か。大屋根の鬼瓦には見られないかわいい出来で、目に止まりました。

同じ鬼瓦でもこちらは袴鬼(ハカマオニ)。なんと波間に商売の神様えべっさん(恵比寿天)。とてもシンプルでおおらかな切妻屋根に、どうどうと福を呼び込んでいらっしゃいます。

この商家の壁は威厳に満ちた黒漆喰塗りで、防火の役目を担う「袖ウダツ」と呼ばれる着物の袖のように張り出た壁がとても立派。一方、軒先には「鎌軒瓦」(鎌の刃が横に並んだような軒瓦)が並びとても軽やかな印象です。波打つ軒の瓦同士の「合端(アイバ)」と呼ばれる接点をひとつずつ摺り合わすのは、とても技術がいる仕事なのだそうです。

この巴瓦は蛇の目(ジャノメ)といって文字通りヘビの目のような二重丸の意匠。平瓦の軒先の垂れには唐草(カラクサ)柄が細かく組み込まれていて上品なコーディネートに仕上がっています。少し見えにくいですが、上の棟の下には、同じく小さな蛇の目の棟込瓦(ムナコミカワラ、棟の熨斗瓦の下の飾り瓦)が入り、なかなかさりげなくも熱の籠もった瓦屋さんがいたものだと感心します。

札の辻から西へ二軒目南側の家(元郵便局)の軒瓦.
八木の子供は小学校の時の社会学習で必ずこの瓦を見せられます。
昔、大火で町が焼け、その教訓か「防火」を考えたつくりがあちこちで見受けられる八木の町。毎年八月の23-25日には「火の用心」を祈っての「愛宕祭り」が催されます。夜店も楽しいですが、明るいうちの町内散策も趣一杯、瓦と漆喰細工をご賞覧あれ。(2001.07.14)
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