相談(登録所有者から)
現在登録文化財の建物を所有しています。
先日の台風で、あちこちから雨漏りがありました。
入っている損害保険の会社にみてもらいましたが、劣化による被害とみなされ損害保険金はでないそうで、がっくりきています。
築100年以上なので、これからもますます修理が必要になります。また活用も考えないと子供には重荷ではと心配です。
自分の元気なうちに当面の修理を行いたいのですが、何か補助などあったら教えてください。
答え
以下に、歴史的建造物や登録文化財への補助のいろいろを載せますのでご覧ください。
最近某県某市の事例では、都道府県文化財課に相談の上、調査して補修工事の見積を出したところ、公開など国民への価値還元がないとされ、認められなかった(補助申請しなかった)と聞きました。何かの折に公開など地域貢献、特定の方向けであれ、見学会、勉強会などを行ってその記録を残しておかれることが大切です。また地域の観光協会などにも資料提供してその存在を活用してもらうことも長い目で大切です。
■文化庁予算
登録有形文化財建造物修理等事業費国庫補助要項2020>>https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/joseishien/hojo/pdf/torokuyukei_kenzobutsu_kokkohojoyoko.pdf
文化庁文化財補助金交付規則>>www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/joseishien/hojo/pdf/hojokinkofukisoku.pdf
文化財保存事業費補助金交付要綱(2020.4)>>www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/joseishien/hojo/.../hozonjigyohi_kofu_yoko.pdf
補助金交付要綱 別表、補助金交付要綱 様式
文化財保存事業費関係国庫補助実施要領(2020)>>www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/.../pdf/hozonjigyohi_kokkohojo_jisshiyoko.pdf
文化観光充実のため国指定等文化財磨き上げ事業(2019.4)>>http://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/joseishien/kankojujitsu/
外国人観光客が見込まれる地域で、文化財を活用した魅力向上につながる一体的な整備や公開活用のためのコンテンツの作成等を行うことにより、観光拠点としての磨き上げを図ることを目的とする。補助率は50%。対象は所有者もOK。
■登録有形文化財建造物等の工事で、補助対象となる経費は、次に掲げる経費とする。
① 美観向上整備事業
ア 建築工事経費
イ 設計料及び監理料
ウ 技術指導料(文化庁の承認基準を満たす者による技術的指導に係る経費)
美しい日本探訪のための文化財建造物魅力向上国庫補助要項(2017.4)【修了】>>www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/joseishien/hojo/pdf/kenzobutsu_miryokukojo.pdf
解説:補助事業者は、登録文化財管理者の地方公共団体、その他の法人。補助対象事業は外観の美装化工事で、補助対象経費には、建築工事経費(設計料及び監理料、技術指導料)と事務経費が含まれます。さらに補助率は50%です。
問題は、工事関係者の要件です。文化庁が認めた技術者でないといけないかもしれません。またスケジュールと補助事務の繁雑さ加減、そして文化庁予算の確保。まずは地元の文化財課に相談してみましょう。
国庫補助の登録枠は少ないながら、某県の登録文化財「某邸」でこの補助金がH29年度約900万円利用できています。行政の熱心さが大事なようです。
文化財建造物等を活用した地域活性化事業費国庫補助要項(2017.4)>>www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/joseishien/hojo/pdf/kenzobutsu_katsuyo.pdf
登録文化財の公開活用のための
ア 保存活用計画
イ 公開活用のための設備-展示、内装の整備
ウ 公開活用のための付属施設-展示や管理の整備
エ 防災設備等の整備
オ 耐震対策工事
文化庁令和2年度予算資料「文化芸術の力で未来を切り拓く」>>https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunka_gyosei/yosan/pdf/r2_gaiyo.pdf
登録有形文化財(建造物)の保存修理事業の設計監理補助 約1億円、全国で10件程度
文化庁平成30年度予算資料「社会的・経済的価値をはぐくむ文化政策への転換~新・文化庁元年 創設50年・文化庁は変わります~」>>http://www.bunka.go.jp/seisaku/bunka_gyosei/yosan/pdf/h30_gaiyo.pdf
美しい日本探訪のための文化財建造物魅力向上事業 約3億円、全国で90件程度
文化財建造物等を活用した地域活性化事業 約4.5億円、全国で90件程度
文化財の解説板、情報機器の設置や展示、便益、管理のための施設・設備の整備等の特色ある活用の取組に対して支援し、観光資源としての充実及び地域の活性化を図る。補助率50%、
■令和2年度文化遺産総合活用推進事業について
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/joseishien/chiiki_kasseika/r02_sogokatsuyo/
■兵庫県ですと、兵庫県古民家再生支援事業による「調査費6万」、「再生提案費30万」、「再生のための改修工事費max.1320万」の補助が期待できます。(2021.4)
古民家再生促進支援事業実施要綱>>http://support.hyogo-jkc.or.jp/support/pdf/kominkayoukou.pdf
■公益信託 大成建設自然・歴史環境基金>>http://www.taisei.co.jp/about_us/society/kikin/
R2例: 福井県熊川「空き家を活用した持続可能な歴史的町並みの保護活用事業」、「讃岐六条の高原水車(たかはらすいしゃ)復元事業」、「歴史的建造物のある日本の文化的な風景を未来の子どもたちに残し、左官の文化を後世に伝える」など
助成対象:国内ならびに開発途上国の自然・歴史環境の保全活用にかかわる活動や研究
助成金総額:1,500万円程度、助成件数:30件程度、締切り:2020年7月31日