建築家内藤克雄の足跡3 旧高瀬邸

 建築家内藤克雄の足跡1 西脇市立西脇小学校>>http://www.kazabito.com/2386
建築家内藤克雄の足跡2 旧西脇町消防屯所>>http://www.kazabito.com/2373

建築家内藤克雄の足跡3 旧高瀬邸

020408内藤克雄 旧高瀬邸外観

所在地:2002年時点「へそと近所の名産たち」西脇市西脇273-1

旧高瀬邸は昭和11年(1936)建設、旧西脇消防屯所にほど近い道路沿いに残る瀟洒な洋館。間口19尺(5.76m)奥行き20.8尺(6.30m)で少し雁行するプランを持つ、ほぼ総二階の小住宅。

織物関係の邸宅に増築されたもので、残る図面で見ると一階は土間のようであるが用途はつまびらかでなく、二階に10帖の和室と、7.5帖ほどの洋室がある。

西側の路地に面して、特に窓廻りがマッキントッシュを思わせる繊細なデザインが図面の中では表現されていてる。また屋根の形、反り・起くり具合、・蛇腹と軒の納まりなど、手慣れていてしかも丁寧に設計されている。

平面的には和洋を問わない構造プランだが、階高が3m以上で天井高く、縦に長細い窓から注ぐ光によって空間をハイカラに仕上げたのであろう。

ただ、庇の出が浅く、吸水しやすいモルタルの仕上げで外壁を仕上げていたり、土間に直接土台を据えて大壁で木材を覆ってしまっているので、内部の傷みが心配される。加えて残念なのは、保存状態が思わしくないので、補修を早急にして、ぜひ往時の健全な姿で「街に語りかける建築遺産」となってほしいと望むばかりである。

020408内藤克雄 旧高瀬邸外観軒裏

取材・図面協力 内藤建築設計事務所

2002年 兵庫県建築士会会誌つどい「兵庫探訪」連載記事 写真・文 稻上文子