イニシエノ水車読本


水車 国の登録有形民俗文化財の例

高松市六条町の「讃岐六条の水車」(高原水車)
江戸時代、高松藩の御用水車として稼働、1902年に高原家が購入。
石臼、回転式ふるいや昇降機も連動させて製粉する水車一式。もちろん製麺機も設置され、これだけでうどんができるそう。うどん県の前近代の遺物としてとても貴重。

阪神間の水車

急峻な河川の多い阪神間では江戸後期から戦前まで約250年間、多くの水車や水車小屋があったという。当初は灯油(灯火用の油)、続いて食用油を絞るため、その後は灘五郷の上流と言うことで酒米搗き用の水車として稼働したという。

川の流れに直接水車を下ろすのではなく、川の水流を等高線に合せて水路を築き、水を横引きして水量や速さを調節する必要があった。しかも動力源の水車は、その生産品(油や米)や搾り器を覆う小屋を建てたため、海側から見上げると六甲山系の山肌には、黄色い菜種畑と牛車で使役する牛の牧場の間に直径7-8mもの大水車がくるくる回る風景があったというから、その当時の阪神間の風景は圧巻であったろうと思われます。

昭和13年阪神大水害でほとんどの水車は阪神間から姿を消したというから、それはは阪神間の「風景革命」であったろう。

150605沢の鶴の酒米搗き用の水車と唐臼(復元)
沢の鶴の酒米搗き用の水車と唐臼(復元)

水車に関する本

日本の水車と文化

日本の水車と文化 前田 清志 玉川大学出版部 1992-06

水車・風車・機関車―機械文明発生の歴史 坂井 洲二 法政大学出版局 2006-02

日本初「水車の作り方」の本 吉田 燿子 寺垣 豪憲 小学館 2000-07

水車の歴史―西欧の工業化と水力利用 T.S. レイノルズ 末尾 至行 平凡社 1989-08

日本の水車―その栄枯盛衰の記 末尾 至行 関西大学出版部 2003-03

水車と風土 平岡 昭利 古今書院 2001-08

日本の水車 川上顕治郎 オフィスhans 2005-07

水車 生源寺 順 岩波書店 1948
生源寺 順は1887-1966の機械工学者で、九州帝大教授から昭和15年新設の名古屋帝大工学部長、18年名古屋航空研究所長を兼任。水力学の研究で知られた。著作は他に「水タービン」。

水車史考 李家 正文 雪華社 1985-10
本書は、水車の形成・発展の過程を通してその歴史的役割と今日的課題を明らかにせんとするものである。紹介する水車は北海道のインディアン水車から福岡県の朝倉三連水車まで全国にわたり、特に大阪は永年の実地調査をもとに詳細に報告。超小型水力発電の開発利用の可能性など水車の未来像をも探る好書

水車むらへようこそ 臼井 太衛 樹心社 1993-12
農村の衰退のなかで、“水土蘇生”のシンボルとしての水車づくりを通して、水と森と土との共生を願う人たちの出合いの場『水車むら』の水車守となる。本書は、“森”と“水車”と“農”への回帰と再生を祈りつつ綴る水車守・農民詩人の生活誌。

150605沢の鶴の酒米搗き用の水車と水車小屋と唐臼(復元)