東大寺の石景・木景

200729東大寺二月堂の石段m 200729東大寺二月堂の石灯籠

石は冷たくて硬い。でもとてもあたたかい。石敷き・石積みに籠められた思いが伝わるからかもしれない。

東大寺のいたるところで滑りのよい石畳。多くは黒いすべすべ石(黒色緻密な粘板岩)。スニーカーより、草履が喜ぶ舗石(ペーブメント)。石段は黒みの花崗岩。「青海波」や「亀甲紋」と滑り止めの刻みの痕には、遊び心があふれている。

いっぽう灯籠は苔をまとった花崗岩。奉献者は日本各地だが、材料の石は近在からか?

200729東大寺南大門の木組み

南大門、木組みにはいかに巨大な屋根を軽々と浮かせるかと地上とは違う戦いがある

鉱物図鑑では目の前にある石の判定には役立ちません。地層の違う山々と急峻な川が織りなす日本では、石の種類の多さにはびっくり。建築や石造物、舗装などのために先人が選んだ石は、そこにあった石だったり、遠くからわざわざ運んできた石だったり。しかもこんな使い方、あんな使い方・・・、石にはわからないことがいっぱいです。

石の考古学 – 2002 奥田 尚 (著)
飛鳥石や鞍馬石、御影石など歴史的な建造物に使われている石の種類を探すために見つけた本です。古墳時代の遺跡の「石」「石窟」「石棺」から、中・近世の寺院・城郭まで、「石」の材料と産地について語られています。

 

日本の石ころ標本箱: 川原・海辺・山の石ころ採集ポイントがわかる – 2013 渡辺 一夫 (著)

小さい頃河原で拾った石ころを大事に家に持ち帰ったことがありませんか?著者が選りすぐりの採集地での石ころの見方と説明です。肉眼での判定なので、建築にまつわる石の判定にも役立ちます。

石の中には、「濡れ色」ではるかにその魅力を増すものもあり奥深いです。