卒論執筆中、教えてください。

質問

文化財社寺の耐震補強の考え方について教えてください。

見えない部分を中心に補強をするようですが、耐震補強の程度とどこまでオリジナルを改変するかについてどう判断たらいいですか?

丹生都比売神社本殿 文化財の修理工事

重文神社の丹生都比売神社本殿

答え

その建物の文化財性をどう定義するかの判断が一番大きいこと。また社寺建築の場合は建物の損傷の度合いよりも利用方法のなかでの人的被害の有無が耐震補強のコンセプトになります。

たとえば神様の神殿には通常人はいませんから、人的被害の心配はいりませんが、大人数を収容する拝殿ではその耐震性は人的被害に直結します。

また、文化財では建物のオリジナルの部分を必ず保全しますので、その耐震補強は必ず取り外せる、そしてオリジナル部材とは違うことを明らかにする措置を施す(色をかえたり刻印を押す)必要があります。

取り外せるということで「仮設的」な工事をするともいえます。将来優れた耐震補強方法ができたときにやりなおしができることも非常に大切なことです。

事例調査の第一歩は、図書館で「修理工事報告書」で検索してみて、できたら新しい出版年のものから遡るように古いものをたどりながら研究されると現在の傾向と対策が見えてきますよ。