古民家リノベーション、事業化
【相談】歴史的建造物を宿泊・飲食へのリノベーション事業を考えています。更地からの新規店舗展開ばかり携わっていて、この案件の進め方がわかりません。どうしたらいいでしょうか?

【答え】
歴史的建造物の立地条件と適法化
まず都市計画上、希望の用途の事業が営めるかの確認をしましょう。都市計画区域か?市街化調整区域か?用途地域は何か?地域・地区の指定状況で用途制限はないか、、、です。
多くは自治体の都市計画情報の検索サイトでわかります。地図上で確定できない場合は直接建築指導課や都市計画課等の窓口で確認が必要です。
建築基準法上の道路の有無や、計画道路に敷地がかかっていないか等も気になりますね。
次にJ-SHISや重ねるハザードマップ等で地域の安全性を識りましょう。
土地建物の所有者情報は登記事項証明書、過去の所有等履歴は土地台帳や閉鎖済み登記簿でわかります。
官民等の境界明示の履歴は自治体の道路課等でわかります。敷地内に水路や里道があることもありますので公図とともに確認しましょう。
過去の建物調査があれば1番いいですが、敷地内の各棟の建設年月で建基法施行前の建物の有無はつかんでおきましょう。登記簿や固定資産税の登録情報で分かる場合があります。わからなければ、また反証がでる恐れがなければ、なければ「えいやっ」で決めてしまいましょう。
こうして敷地内の少なくとも活用する建物の建設年がわかれば、その建物が既存不適格建築物かどうか判明します。
建築基準法による縛り、規制、できること、やらねばならないこと、は建築士に委ねて概ねの不適格状況はつかんでおきましょう。
こうして白いキャンパスに絵を描く準備ができます。ここまでがあとの勝負を差配しますので結構な作業量を覚悟して、そうしたコストも考えた事業計画をしてください。
「旧耐震基準」建物の活用と耐震性について
新たに建物を建てる際には、当然、建築基準法で定められた耐震性をクリアすることが求められる。現在の耐震基準は1981年6月1日以降の建築確認申請から適用されており、「新耐震基準」と呼ばれる。一方、それ以前の耐震基準は「旧耐震基準」。
新耐震基準と旧耐震基準の違いは、「想定する地震の程度」とそれに対して「建物が確保すべき耐震力」の2つである。
想定する地震の程度として、「旧耐震基準」では10年に一度発生するような震度5程度の中規模地震を前提としているが、「新耐震基準」では、震度5程度までの地震だけでなく、それを超えた数十年に一度起こるような震度6~7程度の大規模な地震についても想定し、いわば2段階の安全の構えになっている。
つまり「旧耐震基準」では震度5程度の地震に対して建物が倒壊しないことだけを、「新耐震基準」では震度5程度の地震に対しては構造部材が損傷しないこと(第一段階)に加え、震度6~7程度の地震に対しては一定の損傷はあっても建物が倒壊しないこと(第二段階)を求めている。
1995年阪神・淡路大震災や2011年東日本大震災において「新耐震基準」の建物は「旧耐震基準」の建物に比べて被害が少なかったことが報告されているが、2016年熊本地震では新耐震基準の建物の一部で倒壊や大破などの被害が見られたことから、新耐震といえどもその管理や特異な状況下でのブレがあることは知っておくべきである。
例えば、建物の耐震性は耐震基準だけでなく、地盤や建物の形状、施工レベル、建築後のメンテナンスなどによって変わるし、現在も「旧耐震基準」で建てられた築44年以上の公共建築やマンション、戸建て、ビルがたくさん存在し、多くの人が生活したり、働いたりしていることはご存知の通り。「旧耐震基準」の建物は「新耐震基準」に耐震性が足らないが、「既存不適格建築物」と呼ばれ、建築した当時に適法であったものの、その後、法律などが変わったために現状では適法ではないけれど、そのまま使い続けている限りは問題にされないとされている。
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