既存不適格建築の用途変更「遡及」

【相談】二項道路の道路後退 既存不適格建築物への遡及について

長屋門を持つ庄屋屋敷の活用相談です。床面積200㎡までの「用途変更」をおこない、住居系の用途地域で許される「限られた用途」での活用を考えています。問題は、前面道路が二項道路なので、「用途変更」(特殊建築物への用途を変更する行為)の際に、道路後退が必要かどうか、気になっています。

151016北河内尊延寺の長屋門 二項道路

【答え】原則、道路後退は必要

既存不適格建築物、例えば明治時代に建った長屋門などが「二項道路」である狭隘度道路に面している場合、母屋の建替えや増築・または用途変更する場合、原則道路後退の必要があります。(全国の行政が統一見解を準備中。歴史的建造物への遡及を猶予してくれるように祈るばかり)

なぜならば、「二項道路*」はいつか「巾4m道路」になることで周辺の道路事情をよくする考え方の道路です。救急車や消防車、介護の送迎車など現代社会に車の行き来は必須ですから、行政としては可能な限りのセットバックを目指します。例外として古くからの石積みが道路際から立ち上がっているような場合は、その後退が難儀なことを理由に「猶予」と言う名の「緩和=お目こぼし」をしてくれるようです。

なお、用途変更時に、都市計画法施行後の道路斜線や外壁後退に関しては既存不適格部分に遡及することは不要です。・・・ただし実質的に用途変更により車往来の妨げにならない部分の4m確保は求められることがありますのでご注意ください230608。

庄屋屋敷には他にも門屋や塀、蔵など道路際に建つ建物が多く、それらを残して母屋を改修するケースが多いので上記のような厳しい状況は活用しにくくなる要素です。地道に行政と協議をして、将来的には、、、と話ながら「猶予」を引き出す地道な作業が必要になります。

>>どうぞお気軽にご相談のお電話くださいね。

■用語解説
二項道路とは、建築基準法第42条第2項の規定により、道路幅が4mに満たないが「建築基準法上の道路」とみなされる道路のこと。基準時の道路中心線から両側に2mセットバック(道路後退)した線を道路境界線とできるように、建築(軒を含む)・工作物を除却しなければなりません(ボールが転がれるように)。