登録文化財のデメリット・・・義務!と勧告!

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171021川西市火打の洋館
171021川西市火打の洋館

 

171021川西市火打の洋館

登録文化財もいいことばかりではありません

「登録有形文化財「山中家住宅」の滅失により、その保存及び活用の措置を講ずる必要がなくなったため、登録を抹消する。」これは神戸市独自の登録文化財の事例です。国の登録文化財も同じように抹消されます。

「神戸市登録文化財」の登録抹消事例180310

神戸市山中家住宅の抹消について>>http://www.city.kobe.lg.jp/information/press/2018/03/img/20180312841001-1.pdf

躯体の傾きが大きくなり、「安全な居住環境を確保」するためには、茅葺き屋根の躯体を解体除去し、新たな素材で補強・修築する必要があると所有者は判断。茅葺き屋根の撤去と躯体の現状変更により、文化財の価値が大きく損なわれると判断し、記録保存のための調査への協力を指示し、結果登録抹消となった事例。手続きとして所有者は「現状変更等・修理終了届出書」を提出。「修築工事によって文化財の価値は大きく損なわれた」と表現されているが、所有者にとっては自分の家、安全に快適に住まいたいのは当然のこと。文化財を見る目での判断であるが、表現がきついですね。

国の国の登録文化財に登録したらこんなことがあります。

  1. 外観の変更を希望する所有者は、登録有形文化財の「現状変更」の届出が必要です。→届出が必要かどうかは地域の文化財課に相談することをおすすめします。
  2. 所有者の判断で登録簿からの抹消はできません。→登録された現状のままで、勝手に「登録や~めた!」は、できません。文化財性が無くなるような建物の改変があれば、文化庁の判断で抹消されることになります。150809
  3. 文化財の「滅失」、「毀損」、「現状変更」、「所有者の変更」に際して所定の期限内に「届出」の義務が発生します。計画道路の拡幅などで曳き家してセットバックする場合(移築)もそうです。
  4. 届出があった改装や修理、増築などの現状変更に対する「勧告」が行われます。(「文化財としての価値を損なう恐れがある場合など」との但し書きがあり、気になります。)→所有者の希望を受けて、国から登録文化財の 「管理・修理」に対する「技術的指導・助言」を受けられるメリットがあります。(但し、有料か無料かはわかりません )
  5. 「公開」及び「公開に係る管理」に対する「指導」または「助言」(「公共の空間から外観が見えない場合など」とありますが、いまのところ意味不明??)→京都のF家住宅見学会での説明によると、登録の条件に家の中の公開を求められたということです。(実際は義務ではありません)160721
  6. 文化庁のHP(文化財データベース)に載ります。所有者名は出ませんが、住所が特定されます。

040131丹波市青垣の藁葺き民家 崩落 改修 修理

注意

登録文化財(建造物)の修繕や改修(増改築)については、指定文化財とは異なり、建築基準法がそのまま適用されるので、注意してください。(今後、建基法3条適用の方向へ向かいます)

届出が必要な場合

滅失(滅失の事実を知った日から 10 日以内に届出)

登録有形文化財建造物が失われた場合で, 具体的には水害による流失や火災による焼失などが該当します。

毀損(毀損の事実を知った日から10日以内に届出)

登録有形文化財建造物が何らかの原因で破損・損傷してしまった場合です。

現状変更(現状変更しようとする日の 30 日前までに届出)

現状変更とは位置や形(形状・材質・色合いなど)を変えようとする行為のことで , 登録有形文化財建造物では,移築する場合や, 外観を変更する範囲が通常望見できる範囲の4分の1を超える場合などが該当します。

所有者の変更(新所有者は 20 日以内に届出)

旧所有者は, 登録証を新所有者に引き渡します。また,新所有者は 20 日以内に届出を行います。

(文化庁パンフレット「登録有形文化財建造物制度の御案内」2016より)