歴史的建造物の活用事例2019

170613水田に浮かぶ庄屋屋敷のイメージ

国の登録有形文化財の旧庄屋「旧一圓家住宅」が宿泊施設に、滋賀県の多賀「旧一圓家住宅」(上記写真は兵庫県川西市の旧庄屋住宅東多田夢勝庵)>>https://www.chunichi.co.jp/article/shiga/20190510/CK2019051002000024.html

安政四(1857)年築の木造二階建て、延べ170坪の建物。江戸後期の建築と日本庭園が見所。

NPO法人彦根景観フォーラム」に譲渡、昨年まで植物観察会や農家レストランなどに活用→活用団体「合同会社さとやま多賀」が、国の補助2,000万円を利用し整備した。

宿泊と自転車で里山を散歩する里山ガイドツアーが事業の中核。部屋は三部屋あり、宿泊料金は一泊二食付き一人13,000円(税別)。食事は新鮮な地元の野菜と地鶏。

2019分散型ホテル構想、日本を駆ける

歴史的建造物を中心に、魅力ある町全体をホテルに見立て、宿泊・飲食施設を点在させる「分散型ホテル」が全国で広がっている。宿泊客がホテル内を移動するように町中を歩き回り、地元の文化や食を体験できるのが特徴。新しい観光の形として地域活性化にも貢献できるかは、歴史的建造物を見極め、適切にリノベーションできる専門家(文化財、建築設計、工事)と運営母体(事業者と出資者)、エリマネできる地元組織、支援する行政、そして投資を促す金融機関が必要。

分散型ホテルは2009年に兵庫県丹波篠山市の「古民家の宿 集落丸山」が先駆け。>>http://maruyama-v.jp/

 160315丹波篠山集落丸山 分散型ホテル2009

2019年7月開業の岐阜県「NIPPONIA美濃商家町」の他に大津市や京都市、福井県小浜市などにあり、北海道や熊本県でも現在開業準備が進んでいるという。>>NIPPONIA

分散型ホテルは「空き家解消と地域活性化に役立つ点で、地元との連携が進みやすい」とし「外国人旅行者の呼び込み」にも抜群の効果が期待されている。

が歴史的建造物の残るような地域故の「地元調整」の難しさや、硬直化し臨機応変になれない地元行政がそうしたステップを阻害しているケースも多い。ため込んだタンス預金や流動資産を地元の未来に託すような「投資」がなじまない保守的な地元の金銭感覚は根強く、かつての土地神話時代のように「投資」が進まない。そこである程度の資金力があり行儀の良さそうな事業者の出番である。が地元愛より、事業欲や競争心で来られてはまた地元になじまない、、、。こうした葛藤のなか、クレバーな選択を素早くとれるような、健全なエリアマネジメントが必要であり、ヘリマネの出番でもある、はずである。

宿泊業に関係する出来事主な出来事
1860年 日本で最初のホテルが開業
1863年 横浜クラブ、江戸長崎屋開業
1867年 築地に「ホテル館」創業
1914年 星野リゾートのルーツが軽井沢に旅館創業(顧客満足度,経常利益率、エコロジカルポイント
1948年 旅館業法
1949年 国際観光ホテル整備法
1991年 星野リゾート当代が就任(顧客満足度、経常利益率、エコロジカルポイント)
2009年 客室数でホテルが旅館を初めて抜く
2010年 MICE元年(MICE:会議Meeting、企業旅行Incentive Travel、国際会議 Convention、展示会・イベントExhibition/Event)
2015年 明日の日本を支える観光ビジョン構想会議
2016年 国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に関する条例(特区民泊)
オーバーツーリズム(観光公害:観光地や観光資源、そこで暮らす住民の生活の質・旅行の質に対し観光が与えるネガティブな影響)
2018年 日本のホテルは10,402軒 (907,500室)、 旅館は38,622軒(68
8,342室)

(『ひろがる観光のフィールド』2020.2 谷口 知司編著参照)

南都銀行始動

奈良県でも南都銀行、NOTE、SMFLが100%出資するSMFLみらいパートナーズでファンドの運営会社「奈良古民家まちづくりパートナーズ」を設立。2019年11月に運用を開始する。田原本の「マルト醤油」を活用したプロジェクトで、古民家再生に特化する形でスタートをきる。

090605田原本のレトロ看板

090605田原本のレトロ看板