文化財の学校建築【関西】

>>登録文化財と活用 サイトマップ

昭和初期の木造校舎「長井市立長井小学校第一校舎」の耐震改修例(2017.9)

長井小第1校舎は、山形県長井市にあるS8年築の国登録文化財。
建物全体を一旦ジャッキで持ち上げて、基礎部分に免震装置を設置する工法東西93m南北11mの木造2階建、延べ面積は約2,300平方mと大規模。
2019年春に「学びと交流」をテーマにした複合施設として再活用する予定(総事業費約7.8億円)。
切妻造桟瓦葺とする東西に長い木造総2階建。切妻造妻入の正面玄関を中心とする左右対称の外観。スティックスタイルによる丁寧なつくりの木造校舎。

【和歌山県の文化財の学校】

高野山大学図書館(登録文化財・武田五一設計、昭和4年)
湯浅小学校講堂(登録文化財、昭和11年)

140401高野口小学校(登録文化財の木造校舎)

高野口小学校(旧高野口尋常高等小学校)

昭和12年築。木造校舎としては日本最大級の現役小学校舎で重要文化財(2014.01指定)。建築面積3,543.72㎡、寄棟造、桟瓦葺、フォーク型の平面を持つ唯一無二の地域財産。最近平成23年に耐震補強を含む改修工事が完了し、きれいになりました。といてももともと大正12年の関東大震災や昭和9年の第一室戸台風などの災害を経て改良された戦前期の木造校舎建築の堅牢な構造を持ち当時の人々の英知が集結している。また子供を思う、ちょっとしたディテールにやさしさがある。

【兵庫県の文化財の学校】

神戸大学の登録文化財

120124神戸大学武道場

■神戸大学武道場/2012年登録

旧『艱貞堂(かんていどう)』S10築、木造平屋、木摺漆喰、トラス組。神戸大学六甲台キャンパスの北西隅に建つ和風建築で、正面に玄関を構える。内部は格天井を張る格式あるつくりで、大学の歴史を伝える。(文化庁HPより)

■神戸大学本館/2003年登録

S7、神戸大学の前身のひとつである旧神戸商業大学の本館。RC造3階地下1階で,左右対称の正面の背後に両翼を延ばす。外観はスクラッチタイル張で軒にはロンバルディア帯を廻らす。室内外とも重厚な意匠を備える昭和初期の学校建築の好例。

■神戸大学人文社会系図書館/2003年登録

S8,RC造5階建の図書館建築。外観は下層のみ正方形タイルとし,軒にはロンバルディア帯を廻らす。2階大閲覧室はアーチによる大空間とし,正面階段上部のステンドグラスのトップライトなど意匠を凝らす。室内外とも質の高いデザインを誇る学校建築の好例。

■神戸大学兼松記念館/2003年登録

S9,RC造3階建で,両脇から後方に延びる短い翼部は2階建とする。内部は中廊下式とし,研究室等を収める。市松タイル敷の階段ホール,階段手摺上部の鋳物飾など優れた意匠を持つが,外観意匠は簡素にまとめる。文部省営繕の設計になる学校建築の好例である。

■神戸大学講堂/2003年登録

S10,スクラッチタイル張,ロンバルディア帯など本館と共通の意匠を持つ。奥に演壇を置き,前面側を2階建として聴衆室を設ける。船舶の舵をあしらった両開入口扉を3カ所並べ,両脇と併せて5連の大アーチをもつ正面外壁が,講堂としての強い正面性を見せている。

関西学院大学時計台(旧図書館)

関学時計台(S4)と甲山

鉄筋コンクリート造2階一部地下1階建、瓦葺、建築面積477㎡、塔屋付
年代: 昭和4年/昭和30年増築・昭和48年・平成7年改修
登録基準: 国土の歴史的景観に寄与しているもの
備考(調査): 設計はヴォーリズ建築事務所施工者: 竹中工務店
解説文: 甲山を背にキャンパス中央に建つ。南北47mに及ぶ左右対称のRC造2階建で、中央に塔屋とポーチ、両端に切妻屋根を付け、アーチの連窓を配する。赤色の瓦、クリーム色のスタッコ塗壁の対比が鮮やかなスパニッシュ・ミッション・スタイルの学校建築。(文化財データベースより)

その他

三田学園創立二十五周年記念図書館

三田学園中学本館

私立灘中学校・灘高等学校本館
鉄筋コンクリート造2階建、建築面積497㎡、塔屋付
年代: 昭和4
登録基準: 国土の歴史的景観に寄与しているもの
解説文: 宗建築事務所設計の学校建築。鉄筋コンクリート造2階建で,1階を事務室,2階を講堂とする。外観は縦長窓をデザインの基調とし,1階は石積風の横目地を施し,2階正面は窓に尖りアーチ状の飾り枠をつける。学校のシンボルとして地域に親しまれている。(文化財データベースより)

小林聖心女子学院本館
神戸女学院大学音楽学部一号館
神戸女学院大学講堂・総務館・チャペル
神戸女学院大学図書館
神戸女学院大学文学館
神戸女学院大学理学館
神戸大学兼松記念館
神戸大学講堂
神戸大学人文社会系図書館
神戸大学本館
神戸文学館(旧関西学院ブランチ・メモリアル・チャペル)
尼崎市役所開明庁舎(旧開明尋常小学校校舎)
姫路工業大学ゆりの木会館(旧姫路高等学校本館)
姫路工業大学講堂(旧姫路高等学校講堂)
旧氷上郡高等小学校校舎(大手会館)・県指定
平成23年度は、その耐震調査及び実施設計を実施予定。明治建築らしく愛らしい姿です。
木造2階建で、明治18年(1885)築、附:棟札1枚、主屋以外に門、門柱、敷石、柵、基礎石)

無冠の文化財 柏原高校柏陵記念館
1897年に完成した同校(当時は旧制中学)の初代本館で、1941年の校舎建替え時に、減築し移築され、現在図書館や保健室などとして活用中。

041016篠山の八上小学校

篠山市立八上小学校

>>2015篠山市立八上小学校 木造耐震補強工事報告

八上小学校は昭和12年の木造建築で、地域の人々にとって大切な歴史的な木造校舎。2008年に「地域防災対策特別措置法」の改正に基づき、学校施設の耐震診断が義務化され、同小学校では2010年度に耐震診断調査を実施し2012年度に大規模木造校舎の耐震補強による保存改修工事が完了。

■屋根軽量化、たすき筋交い増設、壁・腰・垂壁構造用合板片面補強、基礎補強、2階床面補強、補強金物、防腐防虫対策、防火壁となる隔壁+自動火災報知設備を設置等で
・耐震診断調査業務:5,775,000円
・耐震補強工事実施設計業務委託:3,444,000円
・耐震補強工事監理業務委託:1,575,000円
・耐震補強工事:136,951,500円

西脇市立西脇小学校・昭和11年築

西脇小学校は明治6年に開校。木造校舎は、昭和9~11年築、平成元年大改修。構造補強しながら木造校舎の良さがそのまま残された希有な学校。西脇小学校の木造校舎を想う会>>http://blog.livedoor.jp/nishisholove/
「西脇小学校の木造校舎を想う会」から速報。「2014年11月26日の西脇小学校校舎基本計画検討委員会にて木造校舎3棟すべて校舎として保存・活用する方向に決定!」141127

木造校舎の耐震診断

木造校舎等の耐震診断に「木造住宅の耐震診断と補強方法」を用いる場合の注意点 (財)日本建築防災協会
1) 荷重条件 地震時荷重は住宅とは異なるので、木造校舎等として地震時荷重を算定する必要がある。
2) 階高 木造住宅と比較して木造校舎等の階高は高いので耐力算定時に階高補正が必要となる。併せて接合部による低減係数についても、(本来は)階高を考慮した修正が必要である。
3) 水平構面剛性 校舎は教室など比較的大きな空間を構成しているため水平構面剛性に対する検討が必要となる。
など。
木造校舎の耐震診断スタート(兵庫県内5市) >>古い木造校舎と新しい木造校舎(文科省HP)
遅れていた木造校舎の耐震診断が2011年度着手の方向へ。危険性が指摘されていたのに、なかなか診断基準が示されてなかったところ、国交省所管の財団法人「日本建築防災協会」(東京都)が住宅を応用した指針をやっと発表。対象施設を抱える篠山、加西、西脇、豊岡、養父の計5市が診断を始める。(今後、県下15棟の診断を計画、養父市で発注済み。対象は1981年以前の床面積500平方m超か、3階建て以上。)100121

学校建築の耐震性の特徴

児童の体重を鑑み校舎の重さを算定する
「階高」が高く、壁が長方形で耐力が低い
窓が多く、方角により揺れが異なる場合がある
柱スパン・単位床面積が大きい
「階高」が高く、筋交いの効力が心配

101104三木のE-ディフェンスでの実験が行われ、貴重なデータが得られその後の診断や補強に役立てられます。
実験台は、宝殿中学校の木造 2階建て校舎 (S38年築)で、揺らした結果、

1. 屋根の軽量化による耐震補強の必要性
2. 階高が高い学校での筋交い強度の低減率の例示
3. 柱頭・脚金物の強度
4. 大スパン床の剛性補強の必要性

などに関するデータが得られた(県教委学事課、県防災企画局防災計画課)。基本は(財)日本建築防災協会の木造建築の耐震診断・補強関係の書物で参照できるが、実際にはE-ディフェンスでのデータを活用しながら各学校毎で診断・補強がなされる。また具体の判断は(財)兵庫県住宅建築総合センターなどでされるという。

篠山小学校

160315篠山小学校

篠山小学校の木造校舎5棟が、耐震補強工事ができない可能性が高いとの結果が出た。110421
築後約60年と古く、(こうしたケースでは経済効果を願う、建替えたい組が動くもの)RC造での建て替えも検討されたが、それを地域の声が翻して改修して保全することに見事決定。基礎を打ち直し、柱を増設し、窓や壁に筋交いを入れて補強する予定。瓦は葺土を除去して軽量化し流用するのでほぼなつかしい姿がよみがえる。2015年には完成予定で、設計はヘリテージマネージャーの才本謙二さんです。よかったですね。131101

【大阪府の指定文化財の学校】

旧新田小学校校舎
明治33年(1900年)に建築された大阪府内で現存する最古の木造平屋建ての校舎。洋風の校舎が全国各地に保存される中、純日本風の数少ない木造校舎として貴重です。正面玄関には式台、虹梁、かえる股、「學」字の鬼瓦などが見られ、寺子屋に始まる学校建築の歴史がしのばれる貴重な学校遺産。残園ながら机イスなどは残らず。

【大阪府の登録文化財の学校】

旧岸和田村尋常小学校校舎

旧岸和田村尋常小学校校舎

木造平屋建,瓦葺,建築面積185㎡
年代: 明治36
登録基準: 造形の規範となっているもの
解説文: 木造平屋建,瓦葺の校舎。中央部の玄関から左右に教室をのばした左右対称の形態や教室に採光するための大きな窓を持つ外観の意匠に特徴がある。明治期に建設された小規模な学校建築の好例で,現在は岸和田市中央公園に移築保存されている。 (文化財データベースより)

樟蔭学園記念館
樟蔭学園樟古館旧試食室
樟蔭学園樟古館旧洗濯室
聖母女学院校舎
大阪医科大学看護専門学校校舎(旧大阪高等医学専門学校別館)
大阪市立大学本館(一号館)
大阪歯科大学牧野学舎本館
大阪大学共通教育本館
大阪府立桜塚高等学校塀(旧豊中高等女学校周塀)
大阪府立三国丘高等学校同窓会館(旧三丘会館)
大阪府立四條畷高等学校本館
谷岡記念館

富田林市立川西小学校教育歴史資料室(旧川西尋常小学校)
木造平屋建、瓦葺、建築面積161㎡
年代: 昭和10
登録基準: 造形の規範となっているもの
解説文: 昭和9年の室戸台風後の復興校舎で,玄関・職員室と高等科教室1室を残す。教室の天井を船底天井とし,室内天井下に挟み方杖を見せるなどの構造的な特徴のほか,東妻面に玄関ポーチを配して半切妻の2重構成とするなどの意匠的な見所もあわせもつ。(文化財データベースより)

河内長野市立武道館(旧長野町尋常高等小学校講堂)

関西大学簡文館

【奈良県の登録文化財の学校】

佐保会館/2005登録
市中心部に位置する奈良女子大学の構内北端に南面して建つ。桁行13間,梁間6間の入母屋造,木造2階建で,正面に車寄を設ける。各階腰部を竪板張とした真壁造で,縦長上下窓を四面に配し,妻飾は豕扠首とする。たちの高い堂々とした構えの大学同窓会館。

奈良県立畝傍高校/2012登録

111121奈良県立畝傍高校

北館が校地の南側中央に北面して建ち、その南側に南館が平行する。両館の中央部を渡廊下で接続し、南館の北面西寄りに倉庫が建つ。設計を奈良県技師の寺師通尚と同技手の岩崎平太郎が担当した。北館の正面中央に宝形造本瓦葺の塔屋を建てて相輪をあげ、また陸屋根の四周を本瓦葺とするなど、近代的な建物の要所に和風意匠を取入れ、古都奈良に相応しい意匠とする。

【京都府の登録文化財の学校】

旧京都市立有済小学校太鼓望楼
京都芸術センター正門及び塀(旧京都市立明倫小学校正門及び塀)
京都芸術センター西館(旧京都市立明倫小学校本館)
京都芸術センター南館(旧京都市立明倫小学校南校舎)
京都芸術センター北館(旧京都市立明倫小学校北校舎)
京都工芸繊維大学(旧京都高等工藝學校)自動車庫
京都工芸繊維大学(旧京都高等工藝學校)正門及び門衛所
京都工芸繊維大学(旧京都高等工藝學校)倉庫
京都工芸繊維大学(旧京都高等工藝學校)本館及び講堂
京都国際マンガミュージアム旧講堂棟(旧京都市立龍池小学校講堂)
京都国際マンガミュージアム旧正門及び塀(旧京都市立龍池小学校正門及び塀)
京都国際マンガミュージアム旧北校舎棟(旧京都市立龍池小学校北校舎)
京都国際マンガミュージアム旧本館棟(旧京都市立龍池小学校本館)
京都市学校歴史博物館(旧京都市立開智小学校)正門
京都市学校歴史博物館(旧京都市立開智小学校)石塀
京都市学校歴史博物館玄関(旧成徳小学校玄関車寄)
京都大学
楽友会館
基督教青年会会館
人文科学研究所附属漢字情報研究センター
清風荘主屋、袴付及び待合、供待、正門、第一中門、
第二中門、茶室、土蔵、納屋、附属屋、離れ
総合人間学部正門(旧第三高等学校正門)
総合人間学部門衛所(旧第三高等学校門番所)
尊攘堂
農学部演習林事務室
農学部表門及び門衛所
文学部陳列館
本部構内正門(旧第三高等中学校正門)
理学部附属地球熱学研究施設
同志社アーモスト館
同志社啓明館西館
同志社啓明館本館
同志社女子大学ジェームズ館
同志社女子大学栄光館
福知山市立惇明小学校本館
平安女学院昭和館
平安女学院明治館

【滋賀県の登録文化財の学校】

旧豊郷小学校校舎・講堂・酬徳記念図書館 2012登録
昭和12年/平成21年改修
【解説】旧中山道に面した立地。本館は鉄筋コンクリート造二階建、建築面積1,879平方メートル、中央部を三階建の塔屋として正面に車寄を出す。モダニズムを基調とした左右対称の威風堂々とした外観は、地域のランドマークとして親しまれる。(文化財データベースより)

旧豊郷尋常高等小学校本館 2006登録

030115豊郷小学校とフェンス

木造2階建、瓦葺、建築面積105㎡
年代: 明治20年/昭和12年改修
登録基準: 国土の歴史的景観に寄与しているもの
年代は棟札による。棟梁田中彌惣吉。昭和12年の改修はヴォーリズ建築事務所による。
解説文: 至熟小学校講堂として建設。敷地東奥に西を正面にして建つ桁行7間,梁間4間の木造2階建で,寄棟造,桟瓦葺とする。外壁はモルタル塗で,両開ガラス窓を開く。正面中央の車寄上部のバルコニーにはロクロ挽手摺子を飾り,ペディメント風の切妻屋根を架ける。(文化財データベースより)

近江兄弟社学園ハイド記念館
近江兄弟社学園教育会館
湖東町歴史民俗資料館(旧西押立国民学校校舎)
滋賀大学経済学部講堂(旧彦根高等商業学校講堂)
曽根東福寺組地蔵堂(旧曽根学校玄関)
長浜旧開知学校
白雲館
錬成館(旧西押立国民学校講堂)

学校建築に関する参考文献

学校建築図説明及設計大要

近代デジタルライブラリー/国立国会図書館>>

明治28学校建築図説明及設計大要から切断図

文部大臣官房会計課建築掛〔編〕 文部大臣官房会計課、明治28 、文部省
第二章 小學校
(イ) 概説
(ロ) 小學校建築設計ノ實例
(甲) 尋常小學校(岡山縣川上郡日里村尋常小學校)
(乙) 尋常高等小學校(栃木縣梁田郡久野村尋常高等小學校)
(丙) 高等小學校(假想設計)
(丁) 學校建築設計ニ關スル要件
第三章 尋常中學校及尋常師範學校
(イ) 概説
(ロ) 教室及事務室等
(ハ) 寄宿舍及食堂等
(ニ) 尋常中學校尋常師範學校設計ノ實例
(甲) 尋常中學校圖(大分縣)
(乙) 尋常師範學校圖(假想設計
附録 公立學校建築設計請求ニ關スル注意

学校建築図集(戦前)
日本建築協会〔編〕、大阪:日本建築協会,昭和5
学校建築参考図集(戦前)
建築学参考図刊行委員会編、東京:建築学会,昭和9
西洋建築構造(戦後の木造建築の資料)
建築研究会著、武蔵野町(東京都):中村書店,昭和21

日本学校建築史-足利学校から現代の大学施設まで
著:菅野誠 1973年 文教ニュース社、876頁
筆者連載の「学校建築今昔物語」に増改訂版。「学校建築」誕生、発展の記録。
■内容例
・第1章 学校建築の夜明け前(明治4年まで)
・第2章 学校建築の誕生(明治5年から明治18年まで)
・第3章 学校建築の試作(明治19年から明治31年まで)
・第4章 学校建築の類型化(明治32年から大正5年まで)
・第5章 学校建築の拡充と防災(大正6年から昭和11年まで)
・第6章 戦時の学校建築(昭和12年から昭和20年まで)
・第7章 戦後の学校建築(昭和21年から現在まで)

明治の学校建築の歴史

学校建築のスタートは明治5年の学制発布。
当初は寺や役所の転用であったが、やがて地域の象徴として新築・・・地域それぞれにできていく。
擬洋風の流行の後、構造、雨仕舞い、採光、そして費用を考えた校舎建築の一般化へむけ、文部省が明治15年に全国に指導をスタート。
19年小学校令にて尋常・高等小学校に分化、義務教育4年スタート。明治24年(1891)『小学校設備規則』
25年『小学校建築図案』で奨励案(下見板貼り、欄付引違い窓、洋小屋、間内廊下、二重床、通気口、内部腰の羽目板、込み栓による緊結など)
28年『学校建築図説明大要』
37年『学校建築設計要項』
40年義務教育6年になり児童数急増、建築の定例化
42年『小校建築図案』推奨案では、面積、採光・通風、矩計、隔壁、講堂、雨天体操場、生徒控所を示す。後に片廊下式、方位が示される。

大正・昭和の学校建築の歴史

大正2年 『小学校令』改正
大正12年 関東大震災
大正14年 『木造小学校建築耐震上の注意』答申
昭和2年 奥丹後地震M7.4
昭和6年 満州事変
昭和9年 室戸台風(死者3000、四天王寺五重塔倒壊)木造校舎多数倒壊。
昭和12年 日華事変
昭和15年 『都市小学校の防空施設とその利用法』(建築学会)
昭和16-20年 第二次世界大戦
昭和19年 東海地震M8.3
昭和20年 『戦災復興院』 昭和23年『建設院』のち『建設省』
昭和22年 『教育基本法』『日本建築規格小学校建物』(田邊平学半木造キャンペーン)
昭和23年 『モデルスクール指定』始まる
昭和24年 『日本建築木造規格小学校建物』
昭和25年 『建築基準法』
昭和27年 『耐火建築促進法』
昭和29年 『学校給食法』
昭和31年 『JIS 木造学校建物』
昭和34年 伊勢湾台風(死者4600、この年住宅7万棟が倒壊流出)日本建築学会木造禁止決議
昭和36年 第2室戸台風
昭和38年 『JIS 木造校舎の構造設計基準』改正
昭和42年 『学校施設要綱』
昭和43年 『JIS 鉄骨造校舎の構造設計基準』改正

学校建築に関するその他の書籍

泊れる!遊べる!全国廃校ガイド83選
廃校遊学推進委員会
情報センター出版局 2003-08-20

歴史遺産 日本の洋館〈第1巻〉明治篇(1)

藤森 照信 増田 彰久 ここは日本 知られざる華麗・繊細な世界 第一人者の建築家と写真家の三十年を越える共同取材の集大成! 個人邸として建築された名邸の写真とそこに住んだ建築主の物語、間取図、現況など貴重情報収録!

木造軸組構法の近代化

源 愛日児
中央公論美術出版 2009-08
日本の木造建築の近代化における構造の考え方がよくわかります。

消された校舎―旭丘高校校舎建て替えてんまつ記
旭丘高校校舎の再生を考える会
風媒社 2005-11

温もりの学舎―木造建築の美を訪ねて
国書刊行会 2007-02

木造校舎の思い出 近畿・中国編―芦沢明子写真集

情報センター出版局 1998-06

木造校舎の旅
鹿島出版会 1994-02

幻の学校をたずねて―明治の木造・洋風建築学校
早稲田出版 2004-05

ヴォーリズ建築の100年―恵みの居場所をつくる
山形 政昭
創元社 2008-02
滋賀県美でのヴォーリズ展を機に編集され、ほぼ住宅~公共建築全部が網羅されています。

明治の学舎(まなびや) (ショトル・トラベル)
中村 哲夫 『サライ』編集部
小学館 1997-02
丹念に調べられています。文化財にこだわらず、92校を日本各地に取材していて感服。この本片手に訪れることができるように、アクセス、付近の地図も掲載されていて親切な、小さい薄い本ですヨ。兵庫県からは、旧今津小学校、三田学園旧校舎、柏原高校記念館・旧柏原高等女学校本館、豊岡高等学校達徳会館が掲載。