古景を閉じ込めた空間 多武峰旧真法院・旧慈門院、登録文化財に

210619多武峯旧真法院の石垣

文化庁解説文:旧真法院(西宮家住宅)は、旧妙楽寺子院が神仏分離後に社家住宅となったもの。主屋の内拝所はもと仏間で、本尊厨子は小屋裏に据えており、密かに拝んだと伝わる。
子院建築の好例。表門は棟門で、木柄太く、一軒疎垂木の深い軒は力感ある外観を持つ。塀重門は土塀に開く腕木門で、檜皮葺きの軒付けを残す、軽快な印象の門。>>文化庁報道PDF

旧真法院客殿及び庫裏(西宮家住宅主屋)嘉永3年(1850) 築 建築物
旧真法院表門(西宮家住宅表門) 嘉永2年(1849)築/S60年頃改修 工作物
旧真法院塀重門(西宮家住宅塀重門(へいじゅうもん))嘉永3年(1850)築/S60年頃改修 工作物

床板に上部を見せてかまどが並ぶという「古景を閉じ込めた空間」に感動した調査でした。今後の利活用により、この桜井の歴史が多くの方の記憶に刻まれることを祈っています。

文化審議会は、2019年11月15日文化財分科会で、新たに133件の建造物を登録するよう文部科学大臣に答申。旧真法院もそのひとつで、同じく子院の旧慈門院も同時に登録の予定です。この結果、官報告示を経て、登録有形文化財(建造物)は12,590件となる予定です。

170810多武峰妙楽寺の子院 塀瓦 登録文化財2019

旧真法院と同時に同じ子院「旧慈門院(陶原家住宅)の客殿及び庫裏、その他」も登録。切妻造桟瓦葺の東西棟で、西の庫裏を落棟とし四周に下屋を廻す。客殿は東に畳廊下及び3列6室を配し、上手に床付の座敷を置く。庫裏は玄関北の茶の間と西の台所からなる。江戸時代の書院の遺構がそのまま保存され、彭城百川筆、宝暦元年の年記がある障壁画等、重文多数。

 

210619朽ちゆく多武峯妙楽寺子院m 210619観光地らしからぬ門前の様子 奈良県桜井市多武峰談山神社 

上の写真は多武峰の朽ちゆく子院と観光地奈良らしからぬ門前の様子です。世界に誇る世界遺産もある奈良県において一部にだけスポットライトが当たり、豪奢に整備が進む反面、こうした深い歴史はだれが後世に伝えるのだろうか?バランスを欠いた文化行政も問題だが、みんなで考える場があればと思う。