古民家のつなぎ方、しまい方

長年つきあいのあった古民家が次のステップに入りました。

江戸時代から続く庄屋屋敷が昭和初期に大阪の事業家の目にとまり別荘となり、戦時中は疎開先にもなりました。

かつて茅葺きだった庄屋屋敷は江戸後期に小屋組を掛け替え瓦葺にお色直しをしています。地元産の瓦を冠した大規模民家は明治に突入。代々の家はやがて途切れ、庄屋屋敷は近代和風の様相に大リフォームされて戦後を迎えます。大阪の事業家の継承者が昭和中期にさらに手を入れ、揚げ床のキッチンや長屋門をダンスホールにし、茶室の増築までしてこの地を癒やしの場として慈しんだことがわかります。

時は流れ平成の半ばに突然の相続が起き、もう少しで小規模開発(敷地全域を分割して戸建住宅を建てる開発行為)になるはずが、すんでのところで地域の方々の運動で、新たな事業家が解体の危機を救ってくれました。心地よい風が吹く紅葉の庭と座敷が気に入ったからです。

それからは会社の保養所のひとつとして使われていました。

敷地の過半は杉や貝塚イブキ、栂などの高木が見下ろす和風庭園で、座敷から目の前に四季の変化を見せてくれる紅葉庭が静かにそこにあり、庭園と室内が一体となった空間が広がります。

周辺はすっかり変りました、駐車場やアパート、戸建住宅に囲まれています。が玄関から長屋門の南門からみる水田は昔を教えてくれます。猪名川を挟んで西の遠山には能勢街道のいにしえを創造させる空気が流れます。

第1種低層住居専用地域にあって水田混じりの閑静な住宅地。東に池田市との市境のしゃらりん山などの山地があり、鹿や小獣が下りてくるような里山境の住宅地にあり、少し歩けば能勢電鉄や商業施設の並ぶ幹線道路にも至ります。便利で歴史があって自然も豊かな地域に静かにたたずむ庄屋屋敷が今後新しい住まい手使い手と繋がるために新しいプロジェクトに入って2年。日本民家再生協会や古民家再生協会、空家相談センターと手を尽くしてそれぞれの民家バンク的な流通サイトに取り上げていただくことになりました。

あと一歩、出会いがあれば、景観指定や文化財登録で価値付けした屋敷がほんの少しの補助金という持参金を担いで新しい余生に踏み出せます。

長らく十分な手入れができていないので、安全快適な暮らしのためには費用もかかります。でもこのキャンパスはての入れ甲斐がたっぷりあります。広い庭や空地も利用のアイデアにみたされることでしょう。

大きな屋根を冠したガラスの数寄屋をあなた好みにリノベーションしてみてください。

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フクイ アサト (著, イラスト), NPO法人結びめ (編集)

民泊法の改正によって、制限付きではありますが古民家の利活用がしやすくなりました。しかし、古民家を昔の姿に戻すだけでは充分ではありません。「暗い」「寒い」という欠点の克服が利活用の絶対的な条件です。
この本では、古民家の利活用に大切な「暗い」「寒い」を克服するための「耐震改修」と「温熱向上」を目指して「手法」と「技術」を全て公開しました。わかりやすいイラストで解説しているので、初めての人にもつくることができます。日本が誇る伝統的な建築の強さや美しさの改修技術を身に着けて、できるだけ多くの人に利用できる古民家を残したいと思います。

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