2024年1月の能登半島地震において、巨額を投じ耐震補強した⽂化財建造物である
- 重要文化財 旧角海家住宅主屋(倒壊・耐震補強済)
- 登録有形文化財 總持寺祖院(禅悦廊)(倒壊・耐震補強済)
- 同 (禅悦廊以外)(傾斜、小被害・耐震補強済)
- 重要文化財 時国家住宅(傾斜・耐震補強済)
が被災した。旧角海家は江戸時代の北前船集落の中核的建物。「2007年の地震でも屋根が崩落し、2011年に復旧工事が完了していた。文化庁によると、指針に沿った耐震補強も施しており、そうした建物が倒壊したのは初めてという。」(2024/03/30読売新聞オンラインより)
今回は、⽂化庁では、⽂化財建造物の耐震対策の技術的事項に関する協⼒者会議を設置し、被害状況の調査、原因の分析、耐震対策の⽅向性についての検証を⾏い、「令和6年能登半島地震における⽂化財建造物の耐震対策に関する調査結果について」により、調査結果を取りまとめたものを文化財修理に関わる、文化財所有者(使用当事者)、行政マン(保存、工事補助)、構造建築士(構造計画・計算)、建築士(調査、全体計画、活用)、工事施工者(維持、保全)らで共有する会。
調査結果によると、現在の耐震に関する⽂化庁の指針と関連する指針・マニュアルの有効性は確認されたが、2024年の倒壊・傾斜の結果を受けて、指針やマニュアルを踏まえつつ、さらに⽂化財建造物の個々の状況に応じた適切な判断が必要であることが確認されたという。
この検証結果を受けて、当該調査経過の共有と知識の更新を⽬的として、⽂化財建造物の設計に携わる設計者を対象とした講習会でした。何よりマニュアルにとらわれない鋭敏な感受性で選択肢を誤らない、ひとりで考えないことの大事さを思い知った会でした。
【文化庁】文化財建造物の耐震対策に係る指針・要領・手引>>

兵庫県名塩の戦前古民家 伝統工法のツシ2階