ヘリテージマネージャーとは

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1963 Ocean Lounge 愛知県蒲郡市西浦町大山

はじめてのヘリテージ建築 絵で読む「生きた名建築」の魅力

2023/6/17 宮沢 洋 (著)

「古さ」を楽しむ人が増え、再評価が高まる「ヘリテージ建築(歴史遺産建築)」。なかには建築設計者の手で保存再生され、魅力的な場に生まれ変わったものがあります。元建築雑誌編集長が現地を巡り、分かりやすいイラストを交えながらその面白さを伝えます。

ヘリテージマネージャー(歴史文化遺産活用推進員)とは、

歴史文化遺産を活かしたまちづくりを推進するため、歴史文化遺産を発見、再生し、地域活性化に参画する専門知識を有する人のことをいいます。兵庫県のヘリテージマネージャー登録制度発足から20年を超え、現在では登録文化財に絡む事象は一部で、広範囲で多様な活動が増えています。ひとりずつの中で「HMとは」そのものが成長しています。

180306街角の歴史的建造物(橿原市)

兵庫県発、地震が教えてくれたこと

この制度は、大震災を経験した兵庫県で、全国に先駆けて制定された制度で、県下の建築士などの有資格者が約6ヶ月間、延べ60時間にも渡る講習を履修、終了して初めて与えられる呼称とされています。講習の中では、ヘリテージの基礎知識、建築修復の技法・工法、環境計画、実測演習がおこなわれています。現在では不動産関係者、学生、コーディネーターの養成も行っています。

上記の資格を有し、申請した者は兵庫県教育委員会の「兵庫県へリテージマネージャー登録原簿」に登録され「兵庫県ヘリテージマネージャー」となります。(2002~)>>2022兵庫県教育委員会文化財室名簿

現在、兵庫県では登録文化財の調査、登録申請、歴史的建造物の観光・活用などにヘリテージマネージャーが活躍しています。またその多くが、「ひょうごヘリテージ機構」に属し、お互いの連携と技術の研鑽に努めているのが現状です。

ヘリテージマネージャーのメリット

登録を受けたヘリテージマネージャーは、「(財)ひょうごまちづくり技術センター」へ兵庫県教育委員会から推薦され、地域への派遣要請を受けたり、登録文化財の登録に関する提言、(社)兵庫県建築士会が受託した調査業務等を行うことができます。景観サポーター・アドバイザー及び古民家再生専門員などへの登録も行えます。

まちづくり専門家バンク[景観アドバイザー部門]>>

ヘリテージマネージャーの役割

(1)歴史文化遺産を活用する能力の養成
・利用可能な歴史的建造物の発見
・歴史的建造物の歴史・文化的価値の判断
・歴史を活かしたまちづくり活動に係る歴史文化遺産の活用
(2)歴史文化遺産を保存する能力の養成
・法律・条例、その他の制度との調整
・所有者と改修費用の積算
・修復、修景デザイン、景観行政との協働
・まちづくり活動との共同作業
(3)まちづくりに参画する能力の養成
・歴史を活かしたまちづくりに係る所有者・住民等の相談
・歴史文化遺産の定期的健康診断(ホーム・ドクター)
・まちづくり活動団体の相談(ホーム・コンサルタント)
(4)経済振興に参画する能力の養成
・歴史的建造物を活かした観光の振興
・雇用や起業の支援
・歴史的建造物の自己保有や自らがプレイヤーになっての運営

ヘリテージマネージャーのしごと

建築資産を考えるとき、今までスクラップ&ビルドで貴重な建物を簡単に壊してきたことが浮かび上がります。今後はストック(=今あるもの)活用への移行が必至。

そこで、今存在する(今も残っている)価値ある建造物、特に地域に親しまれた歴史的文化遺産を建ったままでいかに活用し、その姿を残すか、また「まちづくり」という枠組みの中でどう活かしていくかが問われます。

1.まず、このような地域に眠る歴史的文化遺産を発見すること。
2.そして、そのことを地域のみんなに知らせること。
3.特典を生かして「登録文化財」にすることも賢明な選択肢のひとつ。
4.次に、 保存しながら、活用する提案をすること。
5.結果的に、地域(=まちづくり/行政用語)に活かすことが仕事です。

以上をできる能力を持った人材を「ヘリテージマネージャー(Heritage Manager)」と呼びます。

ひとくちにヘリテージマネージャーといっても地域でその発生の経緯が違い、建築士から、まちづくりから、所有者から、景観行政から・・・、とこめられた想いが違う方々が全国で発生しています。

180113三重県名張の町家
アヤメもしくは大和塀 前後して板を張り目線と通風をうまくコントロール

ひとりで決めない

兵庫県ヘリテージマネージャー、京都市文化財マネージャーのひとりとして感じるのは、真摯で少々マニアックな文化財関係者と普通の人々の間を埋めるのがまず役目です。生半可な知識で「ヘリマネひとり」で決めつけないようにと自戒をこめて思います。複数判断、ピアチェック(専門家同士でチェックしあう仕組み)を心がけましょう。

一生を文化財に投じている方々への尊敬とその不器用な学究肌がために理解できないことも多いと痛感した筆者です。

2022年有志のひとりが逝きました。一緒に地域の宝やそれを守る苦労を話し、ときには実践現場を共にした人物はこれからを期待された自由人でした。足下にも及びませんが励まし合ったことごと、にちにちを無駄にせぬよう精進と実践を!合掌。

東日本大震災に駆けつけた兵庫県文化財室長の新聞記事を見るに、ヘリテージマネージャーは文化財ドクターになり、サポートをし、看護師にもならないといけないと痛感する。文化財に賭けるロマンはきっと日常において人々の助けになるから・・・。111018(朝日新聞「ひと」(村上裕道さん)参照)

第14期が卒業し、400人近くにも及ぶヘリマネ講習会の履修生がいる兵庫県。昨今は登録も狭き門となり、五合目当たりは細っているが、逆に裾野は広がりつつあり、何気ない地域文化財への静かな取り組みも増えています。活動は分化し、ヘリマネ以外の仲間とも協働する姿が多く見られます。ヘリマネは、確実に出口=結果が求められる時代になりました。

季刊まちづくり 25 2009/12/1

上の雑誌は、まちづくり活動を支援するコミュニケーション誌です。2009年ヘリテージマネージャー制度のすべてがここに掲載されています。まさにまちづくりの担い手として日本の指標となる人材のムーブメントであった頃です。が、ヘリマネは無償か有償か・・・、士業・民業圧迫はないのか・・・。ヘリマネの理想と現実の差違、ヘリマネの手で登録文化財にされた建物のその後の現状は今も深刻です。一方、登録文化財所有者はその結びつきで、ヘリマネ依存からの脱却もどんどん試行中。企業など違う世界と結びつかないと守れないものとの意識改革をして、がんばれ登録・伝建所有者!

これからは、ファシリテーション・不動産の知識とノウハウがキーワードです。

建築系のためのまちづくり入門: ファシリテーション・不動産の知識とノウハウ

2021/9/18
連 健夫 (著), 野澤 康 (著), 三井所 清典 (著), 饗庭 伸 (著), & 17 その他

東京人 2021年8月号 特集「保存リノベ建築」歴史と記憶をつなぐ

– 2021/7/2
東京人編集室=編 (著), 東京人編集室 (編集)