登録をゴールにせずに

210807大和保田の家

今日の朝日新聞に世界遺産登録に絡む記事がありました。

これまで、私もひとつの目標に「登録文化財」をあげてきた経緯があります。が、十分な情報共有がないままに「ゴール」を迎えると、そこで「おめでとう」と交わした後、思考停止になってしまいがちであったことに気付きました。価値の評価(価値付け)は保全のモチベーションにとって大事なことはあきらなかのですが・・・。

登録文化財の一部では、登録当時の所有者が代替わりし、「登録文化財の現実」に出会って困惑しています。

登録文化財をテコに新しい感覚の展開を見せるものもあれば、もう登録を辞退したいと考える所有者もおられます。

登録文化財になったことを名誉に思われないかたはおられません。家の歴史が建造物とともに国に登録されたことは事実でありましょうから。

でも、はかない支えの「登録文化財制度」に頼っていても何もはじまりません。

今回、空き家相談のNPOさんを通じて、「売る」という選択を明示され目の前がくらくらしました。

「登録文化財売却」の実際はこれから相対することにあるやもしれません。これまで登録文化財だけでなく重要文化財でも除却(滅失)の事実は何度も報じられていましたが、正直他人事でありました。「登録文化財売却」と「登録文化財解体」にもう目を背けてはおられません。

登録文化財の滅失届
滅失届(滅失の原因とその後の措置を記入して文化庁に届ける必要があります)

佐滝 剛弘/著『登録有形文化財』>>

空き家が4軒に1軒になる時代に「伝統的な歴史的建造物」がその多くが活用しにくい規制地域に建ち、その姿を保全するのに法外な費用がかかることは事実です。

文化財的価値と活用価値は違います。

行政に頼るより民間力でと言われますが、そこにもいろんなハードルがあります。

直截な視線で元治つん目を背けず前に、もう少し前に進みたいと思います。

210807大和田原本の家

登録文化財のファシリテーション

これからは、ファシリテーション・不動産の知識とノウハウがキーワードです。

建築系のためのまちづくり入門: ファシリテーション・不動産の知識とノウハウ
2021/9/18
連 健夫 (著), 野澤 康 (著), 三井所 清典 (著), 饗庭 伸 (著), & 17 その他