京都の近代建築の活用について

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相談

京都洛中に弥栄会館*(昭和11登録文化財)に似た旧旅館が路地に面して建っています。古都京都の風景にはなじみませんが、いわゆる今はやりの近代建築のようです。これを利用して観光施設を考えている事業主からの依頼で建物を登録した場合のメリット、デメリットを教えて下さい。

京都祇園 弥栄会館

弥栄会館

鉄骨鉄筋コンクリート造、地上5階地下1階建。各階に銅板瓦葺屋根をかけ、塔屋状の正面中央部は付庇や宝形造屋根が城郭の天守を思わせる造形で、和風意匠の伝統を巧みに織り込んでいる。設計は劇場建築を手がけた木村得三郎、施工は大林組。国土の歴史的景観に寄与しているものとし2001年登録文化財。

質問1

文化財指定を受けるための条件(どのような建物なら受ける事ができるのか)は?ちなみに、来歴などは不明だそうです。

答え1

文化庁HPに確実な情報があります。(有形文化財(建造物)について)↓
http://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/yukei_kenzobutsu/
来歴などは、文化財指定や文化財登録するなら、調べるしかないです。地元の方の記憶をたどって裏付けるなどでもいいです。

指定と登録は大きく違います。指定はむずかしいのではと思います(可能性があるとすれば京都市文化財課で把握しているはずです)。建物を拝見したところ、登録は可能性があると思います。

質問2

文化財登録するためにはどのような作業をしなければならないのですか。

答え2

実測図化と所見、関連資料の整理で裏付けが主なものです。本来そんなにたいそうなものではなく、昔はA4所見一枚でも登録できたそうです。京都市の文化財課に聞くのが確実です。(聞いたところ、近代化遺産調査時に漏れていたものの、内容を検討して市が調査申請しますとのことです。130627)

申請同意書は所有者名ですが、京都市の進達書が必携ですので京都市が多分申請書類などの内容を判断します。(文化庁にマニュアルがあります)

売り物件の場合、所有者の同意をどうするかは問題ですが、京都市ではよくあるケースだそうです。

京都の近代建築 平楽寺書店

平楽寺書店
昭和2(1927)年築、RC造3階建。老舗書肆の店舗建築として造形の規範となっているもの。外観意匠にトスカナ式のジャイアントオーダーを採用するなど本格的な洋風意匠をとる。京都文化の近代化の一面を物語る建築。1998年登録文化財。

質問3

それに必要な日数、費用はどれくらいでしょうか。

答え3

基本的には設計と一緒、専門家の日当(報酬)で積算したらいいです。建築確認に必要な「手数料」のようなものはいりません。

役所の稟議、文化庁の審議委員会がスケジュールのネックで、書類がそろってからだと、早くと半年、長くて1年-3年以上掛かります。それ以上掛かったことは今までにありません。

ただし文化庁の検査官の「実査」(現場調査)をスケジュールにいれなければなりませんので、早い目に、まずは京都市(文化財課等)に相談掛けましょう。

質問4

また旅館やホテル(あるいは簡易宿泊所)をするうえで、指定を受けることのメリットとデメリットを教えていただければと思います。

答え4

前の文化庁のパンフにあることのほか、広告効果を狙ってる商用利用建物は今とても多いです。他のメリット(景観の補助金)などにつなげることができる場合があるというメリットがあります。

一方、登録文化財では、多分(行政によって違う)、指定文化財のように建基法の緩和規定を使えないので、合法建築にしないといけないです(通常の建築と同じ)。最近は徐々に緩和の方向です。ただし非常に時間を要しますから商用利用のスピード感とはかなりギャップがsると思いますのでご注意ください。

では頑張って下さい。