登録文化財にするには

>>登録文化財と活用 サイトマップ

登録の流れ

基本となる登録文化財登録の手続きの流れはこちらで御確認下さい。

文化庁「登録の流れ」>>http://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/bunkazai/sekaitokubetsu/11/pdf/sanko_4_5.pdf

まず調査歴を確認しましょう

登録後補の要件として、文化財関係部局による審査済みであることが大きいようです。『日本近代建築総覧』や『日本の近代土木建築』への掲載や文化庁の全国調査である「近代化遺産総合調査」や「近代和風建築総合調査」などでの調査歴がとても重視されます。(審査の簡略化にもなります)

近代化遺産とは、幕末期から第二次世界大戦期の間に建設された産業・交通・土木に係る建造物等である近代化遺産や第二次世界大戦後に建設された建造物

近代和風建築とは、主として明治以降に伝統的技法及び意匠を用いてつくられた住宅・公共建築・宗教建築等

必ず実査

また、事前に建物を現地で「調査官が視認」=「実査」していることも重要な条件になります。所有者や市町村の担当者が「登録できる」と思い込むと少し見込みが違ってくることもありますので気を付けましょう。(本来の登録文化財制度の意味と現実の行政行為=スピード感には少し乖離があるようです。マンパワーの問題が一番、次に「文化財関係者」のプライドが二番の問題でしょうか。)

登録文化財の相談先

まず登録文化財にしたいときに、相談する公的最高機関と言えば、「文化庁」ですが、通常相談しやすいのが最寄りの市町村または都道府県の「教育委員会」「生涯学習課・室」「文化財課」のようなところです。(市町村をジャンプして、都道府県に持ち込んでもかまいません。ジャンプした場合、あとで市町村の進達が必要ですが・・・。詳しくは都道府県教委へお尋ね下さい)

「文化庁建物を地域と文化に 登録有形文化財建造物制度の御案内」(2.9MB)>>http://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/yukei_kenzobutsu/pdf/bunkazai_pamphlet_6_ver02.pdf

が、登録文化財制度(1996年発足、2010年9月8000件突破、2021年8月13,082件)が行政よっては手慣れていないこともあるため日本全国隅々の文化財課の担当者が正しく迅速に登録に導いてくれるとは限らないのが現状です。(全国の市町村のまだ半分以上に登録文化財不在実態があり、地域間格差が見えます。)

申請のルートが判明したら、まず最初の登録文化財候補としての「申し出」に当たって最低限必要な調査書類があります。その書類作成にあたっては、専門家(ヘリテージマネージャーや建築士などの登録の専門家)の知識があれば少し役に立ちます。(ヘリマネでないと申請できないのではありません。行政は実績のあるヘリマネに相談することを進めますが、登録文化財制度の本質、登録の意義を考えてよ、といいたくなります)

登録文化財手続きの費用

文化庁への申請手続きそのものに手数料などの費用は掛かりませんが、実測や史実の確認、図面や所見作成など調査書類作成を委託すれば当然実費が必要になります。実勢価格としては、図面等の基礎資料の整った小建物の場合で30万円~、基礎資料のない大屋敷となるとその数倍以上と思われます。資格ある建築士が関わることを考えるとそれでもボランティア的価格と言えます。(建築士の日当は経費・税別で少なくとも3.2万円~)

和歌山市 登録文化財 旧西本組本社ビル
登録文化財 旧西本組本社ビル(和歌山市)

旧西本組本社ビル:昭和2年築。RC造3階建。腰を花崗岩張,2,3階をタイル張とし,玄関部にはペディメントをイオニア式柱で支えたポーティコがとりつく。立面のデザインと細部の装飾はよく均整がとれ,建設会社旧本社ビルとしての風格をもつ。設計は早大出身で西本組に勤めた岩井信一。

管轄の文化財課が窓口になっていることが多いので、詳しくはまず、聞いてみてください。登録文化財にできるかどうかの事前検討をしてくださる場合もあり、助かります。

まれに文化庁の調査官派遣費用の実費負担(主に実査の交通費・滞在費)が所有者に求められることもありますので、市町村・県教委にご確認ください。(筆者も複数の県で言われました!)

公費、補助金で登録する道

自治体により、登録文化財候補の「登録化」への支援を予算化しているところがあります(神戸市、堺市、尼崎市、京都市など)。民間の建物が対象で、もちろん所有者の同意が必要となります。具体的には専門家の図面や所見作成へ「業務委託」が行われるようです。費用負担がむずかしい建物の登録化に役立つ施策で、各地に広がればいいですね。

「ダメもと」で相談してみて下さいね。

神戸市では、「デザイン都市・神戸」の推進のためには、「歴史的・文化的価値の高い地域資源の保全・活用・継承・情報発信」を掲げ、神戸の魅力にさらに磨きをかけていくうえで、歴史的建築物等*の保存活用は重要と考えています。市民共有の財産ともいえる歴史的建築物は、建物単体としての価値保存とともに市民生活や活動の場として活用で、さらに価値が高まるとも位置づけています。歴史的建築物が減少していく中、その保存と活用に向けた施策も検討しているとのこと。
*「歴史的建築物等」とは、歴史的又は建築的に価値が高く、周辺地域の雰囲気を特徴づけており、市民に愛され親しまれている重要な建築物等(建築物と周辺の樹木・樹林・庭園・池水などを含む)のうち、面的な広がりの中で一体的な景観形成を図るべき地域内にあるもので、建設後概ね50年以上経過しているものとする。

神戸市 歴史的建築物等の保存活用促進のための施策について>>http://www.city.kobe.lg.jp/information/committee/urban/scene/67siryou1.2.pdf

京都市文化財課では、登録候補と見なした場合、調査・申請そのものをしてくれるそうですよ。聞いてみましょう。130627

ご相談はお気楽にお寄せ下さい。
所有者さんだけでなく専門家の方とも交流・情報交換の機会になればうれしいです。