登録文化財(建造物)は、1996年の文化財保護法改正により創設された制度で、2004年には民俗文化財、記念物も登録対象となりました。
私は、2004年からヘリテージマネージャーとして活動を開始し、2020年まで奈良県で6件、兵庫県で7件、京都・山口・和歌山県で各1件登録文化財に関わってきました。また兵庫・奈良県の近代化遺産調査、兵庫・奈良・山口県の近代和風調査、国宝・重文建物の耐震基礎診断をはじめ耐震診断のための詳細調査、数件の文書調査にも参加させていただき「文化財の世界」の奥深さ・難しさを痛感しています。
こうした登録申請の実務や文化財調査の経験はきっと所有者の方のお役にたてるのでは、また私のみならず広く、多彩なヘリテージマネージャー仲間のサポートも提案できるのではと思います。
登録文化財の候補になる建物は地域を代表する魅力のある建物が多く、地域の財産です。登録文化財制度がそれらを継承するための手助けになるよう祈りつつ、いつも調査・申請に取組んでいます。
小さなことでも相談にのれたらうれしいです。
登録文化財申請の進め方
【1】相談
問い合わせフォームやメールまたはお電話でやりとりします。(簡単なやり取りは無料です)
【2】見学及び概要書の作成
交通費+α程度をご用意いただき、現地にうかがいます。ある程度の判断、アドバイスがあればします。必要があれば、建物概要書を作成します。(作業仕様書をもとに、調査着手前に見積をいたします)
【3】役所調整・実査の予約
建物概要書をもとに、登録申請を担当する地元文化財課(市町村及び都道府県)と協議・調整をします。
実査する文化庁とのスケジュール調整も必要です。
どこまでの調査、資料作成が必要かも判明します。
【4】現況調査
まずは行政サイドの現地調査時に必要な資料を作成します。(所有者情報、建物由緒、規模、改変歴、登録候補の範囲、今後の活用方針など)
登録文化財にするために必要な現況図作成のための実測と写真撮影をします。
また家の歴史や古文書の調査が必要な場合もあります。
地元文化財課の現地調査に立ち会います。
【5】申請書類の作成→申請
書類を作成しながら、適宜文化財関係各課と内容について協議をします。
【6】文化庁の実査
文化庁の調査官の実査を受け、質疑応答に対応します。再調査が必要な事象に関しては、調査を深めます。
【7】活用へ
登録文化財となることで生まれるメリットをうまくいかしていきます。景観指定を受けたりまちの活性化のために役立てたりすることもできます。ひとつずつの建物のよさをひきだし、地域と連携することからはじめましょう。
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